井上 博之さん (慶應義塾大学医学部医学科)
皆様、こんにちは。
私は講座に所々登場する慶應義塾大学医学部6年の井上と申します。
まず、この講座を見て、そのページ数に圧倒されました。ブログの読者で合格された方を中心に、医学部生からの情報を一人でここまでまとめたかと思うと、そのたゆまぬ努力と労力と情熱にただただ感心するばかりです。私の目から見ても、とてもいいものができたと思います。受験生のよい道標になるのではないでしょうか?
その内容ですが、医学部に入学されたほやほやの方のアドバイスを中心にまとめられています。私は見ての通り医学部受験からはかなり離れてしまいました。ただ、「学力は本人の努力次第である」ということと「医学部受験に大事なのは満遍なく仕上げることだ」という根本の部分で若い医学部生の皆さんと意見が一致していたことは、自分のやった勉強そして白水さんと一緒に受験指導をした方針が間違っていなかったことを再確認できました。
また、この手の体験記などは塾主体で作るため、特定の塾や教材等をひいきする内容になる傾向があるかと思います。しかし、この講座ではそのような制約が一切なく、正直な意見が述べられている点もいいと思いました。その意味でも「生の声」は大いに参考になるでしょう。
ただ、同時に、このアドバイスはあくまでも道標であって全てでないということを付け加えておきます。勉強は、根本の姿勢は同じですが、人それぞれに合ったスタイルがあります。どのアドバイスも、全部そのまま受け入れるのではなく、合うところは採用すればいいし、合わないところは自分のスタイルを作ることも大切だと思います。
さて、マスコミの報道にもあるように、現在医療現場は大変厳しい状況にあります。その厳しい医療の現場に飛び込もうという若い皆様には、是非医療問題について常日頃から考えるようにしてほしいと思います。面接・小論文対策にとどまらず、興味を持って医療ニュースを積極的に見て考えてほしいと思います。国民が安心できる医療の実現を願います。
日本の地域医療を支えてきた医局の崩壊の根底には、初期臨床研修義務化に伴う医学部卒業生の流動化もあると言われています。それに対して、実際、都市圏の研修医採用枠を減らすなど国が動き始めました。今後医療政策は大きく転換される可能性があります。政策に翻弄されるのはいつも現場の人間ですが、将来医療をやりたいところを見越した志望校選びをすることも必要になってくる時代なのかなとも思います。
皆様も是非、志高く医学部を目指してほしいと思います。
(2008年8月)